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破天蒼月

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□ 破天蒼月(小説) □

美徳と善行の懺悔13

エピローグ

さくり、さくりと雪を踏む音がする。
「サージャ、ついたよ。ここにみんながいるよ」
そう問いかけてももう答える声はない。
ゾンビ達の群れが何か救いを求めるように私を取り囲む。
「どきなさい、今はあなたたちの相手をする気分じゃない」
私はそういってゾンビ達に語りかける。すると何かを察知したのか彼らは次々に道を譲った。そしてその先に数体の影が見えた。
一座のもの達だ。
「サージャを連れてきてくれてありがとう」
私は怒りで手が震えた。
「何がありがとうだ!お前達はサージャがここに来れば死ぬことがわかっていたんだろう!」
私は力の限り叫んだ。死の森中に私の怒りが反響する。だが一座のものたちは誰一人として臆することはなくただ黙ってそこに立っていた。
「これは賭だった。サージャが無事下山できるのであればきっと一人でも生きていける。だが死ぬようであればそのまま我々の仲間に入れて連れて行こうと思った」
「そしてサージャは死んだ。さあ、サージャをこっちへ」
一座のものたちはその腐り始めた手を次々に私の腕の中のサージャにさしのべた。
「いやだ!お前達には渡したくない!サージャはこのまま死なせてあげるんだ!」
さしのべられた手を全て扇で払いのけてサージャを隠すように腕の中に包んだ。
「お前に何がわかる」
「お前はサージャを守れなかったんだろ」
「サージャは死んだ。我々の元へと望んで」
「さあ、よこせ。その子は私たちの家族だ」
払いのけても払いのけても手が伸びてくる。そしてついにサージャは私から離された。
私は手を伸ばしたがもはやサージャを腕に抱く資格がないことに気がつきその手を雪の中に落とした。
「・・・月天瞬光っ!」
雪を握りしめ力の限り叫んだ。
もうどこでもいい。私は小さな命すら守れなかった無力な存在だ。
紋章の継承者・・・蒼家の当主・・・
そんなえらそうな肩書きを背負っていながら私はただ何もできない女なのだと嘆き、その場から消えるしかなかった。

第6章・完
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Date:2006/08/26
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